フィラリア症についてのお話 ① 「フィラリアはどうやって感染するのか」

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フィラリア症についてのお話 ① 「フィラリアはどうやって感染するのか」

予防について ーフィラリア

2017/05/10 フィラリア症についてのお話 ① 「フィラリアはどうやって感染するのか」

 

『フィラリア予防をしっかりしましょう!』

 

春になりますと、どこの動物病院でもこのフレーズが目に耳に入ってきます。

勿論当院でもこのフレーズがあちらこちらで見られます。

 

「フィラリアって、蚊からうつる病気の事ですよね」

飼い主様にフィラリア症についてご質問させて頂くと、上記のような回答を頂くのが多いです。

そしてその認識で正解です。

重要な点は【蚊】を介して【うつる】ものだという点です。

 

予防しなければというのはなんとなくはわかるけれども…

「何故毎年長い期間予防しなければならないのか?本当に必要なの?」

「フィラリアにかかった子が周りにいないけど、それでも予防しなきゃだめなの?」

という疑問を持った飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

ではそういった疑問も含めて、フィラリア症の予防について幾つかに分けてお話をさせて頂きたいと思います。

 

 

今回はフィラリア症がどういう形で犬に寄生してしまうのか、主に感染経路についてのお話です。(予防期間、予防方法等は次回以降となります)

 

フィラリア症を引き起こす原因、それがイヌ糸状虫(Dilofiraria immitis)です。

犬を終宿主、蚊を中間宿主としています。

(※終宿主とは卵や幼虫を産んで増える為の場所、中間宿主とは卵や幼虫が成長して数を増やせるようになるまでを過ごす場所、とお考え下さい。)

日本国内ではヒトスジシマカ1、アカイエカ 2などが主にフィラリア症を媒介する蚊です。毎年夏場に見かけては、私達がパチンパチン叩いている彼らですね。

感染して犬の体内で成長したフィラリアは、幼虫を産みます。それが第一期幼虫といわれ、別名ミクロフィラリアと呼ばれます。3

ミクロフィラリアは犬の血液中を循環しながら、蚊によって吸血される機会を待ちます。最大でミクロフィラリアは約2年のもの間、待機し続けることができます。

蚊によって感染犬の血液が吸血された際に、ミクロフィラリアも一緒に蚊の体内へ入っていきます。そして、蚊の体内で脱皮・成長を繰り返し、感染性を有する第3期幼虫というものになります。

この第3期幼虫は感染能力を獲得すると、蚊の吸血部分(ストロー部分)に移動し、蚊が次なる犬の血液を吸血する際に、その犬の中に侵入していきます。

蚊が吸血する際に、フィラリア幼虫はそのストロー内を通じて犬の血管・血液の中に入り込むと思われてる方がほとんどだと思います。しかし、実はそうではないのです。蚊が吸血するタイミングで侵入するのは一緒ですが、例えるならば涎を垂らすように、実はストロー部分の外側からボタボタッと犬の皮膚表面に落ち、非常に小さな吸血後の穴や体表の傷から体内に侵入していくのです。

体内に侵入したフィラリア幼虫は皮下や筋肉内で成長しながら血管を目指し、そして最終目標である心臓・肺動脈に到達します。そこでフィラリアは雌雄でつがいとなり、幼虫を生んで…というサイクルを繰り返すのです。

 3

“犬”糸状虫という名前のように、この虫は犬を終宿主とします。病原体の頭文字に動物種名が入るものは、基本的にはその動物種または近縁種のみにしか感染しないことがほとんどですが、犬以外の動物にも感染する例があります。報告としてもっとも身近なのは猫です。本来の宿主以外に感染した寄生虫は往々にして強い症状を呈する事があります。犬フィラリア症は多数の寄生でないと症状を表さない事が多いですが、猫の場合はたった1匹の成虫が存在するだけでも症状が出てくる事もあります。

人も感染する事はあるのでしょうか?

その問いに対しては「YES」です。人への犬糸状虫症の感染例の報告は確かにありますが、決して多いものではありません。先に述べましたように本来の宿主以外に感染すること自体が稀であり、無症状のまま過ぎ去ってしまう事がほとんどだと思われます。

 

近年ではフィラリア症の動物を見かける機会もかなり少なくなってきました。ひとえに皆様の予防に対する意識向上と実施の徹底、衛生環境の改善などの要因が大きくかかわっています。ですが身近ではなくなってきつつも、決して無くなってはいません。

蚊の飛行可能範囲は種類によって違いがありますが、長いもので数km移動するものもいます。実際の生活範囲はそれよりも狭いものと思われますが、もしかすると遠方よりやってくる蚊がいるかもしれません。特に先日話題になったデング熱、これは元々熱帯亜熱帯の地域でしか見られなかったものが何故日本で発生してしまったのかは元を辿れば、飛行機や船舶などの貨物技術の発達により、現地で紛れ込んだ蚊が日本まで運ばれてきてしまい、そして日本で増えて広がって、やがて日本にいる蚊もそのウイルスを運ぶようになり…という次第です。大げさかもしれませんが、近所でフィラリア症の犬がいなくとも、遠方からフィラリアを持った蚊が紛れ込んでくる可能性も考えられるのです。

そして、よく「うちの子はあまり散歩しないからフィラリア予防しなくても大丈夫」「完全室内飼育なので大丈夫」というお話を飼い主様からお聞きすることがありますが、これは完全な間違いです。室内飼育においても、蚊がお部屋の中に入り込んでくる可能性は十分にあります。お家の中にいても蚊に刺された経験がある方がほとんどですよね。人間だけ刺されて、動物が刺されないという事はありません。蚊の侵入を防ぐ手段は徹底的にやらない限り、非常に困難なものです。

 

室内でも室外のいずれの生活環境においても蚊そのものの対策も大事ですが、その対策を抜けてきて動物に対して害を為そうとするフィラリア症予防対策も、しっかりと行う必要性があります。そうすることで万が一にも感染してしまうというケースを防ぐことができるのです。

 

 

 

 

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