フィラリア症についてのお話 ② 「症状と治療について」

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フィラリア症についてのお話 ② 「症状と治療について」

予防について ーフィラリア

2017/05/17 フィラリア症についてのお話 ② 「症状と治療について」

 

今回はフィラリア症の症状と治療についてになります。

 

フィラリアが心臓(主に肺動脈。その他右心室)に寄生してしまうという事は前回の内容です。

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ではその事によってどのような症状が動物には出てきてしまうのでしょうか。

フィラリアの宿主となる犬では、仮に1匹が心臓に居たとしても症状が出てくることは少ないです(猫では1匹でも重度症状となることがあります)。多数の成虫が心臓内に寄生し、かなり進行したところで症状は出てきます。

初期症状としましては、運動不耐(バテやすい)、動悸息切れ、空咳、何となく元気がない、食欲がないといったものがみられます。これらの症状はフィラリアのみならず、心臓病でも同様にみられるものですので、中高齢の動物でフィラリア予防をしっかりしているにもかかわらず上記の症状がみられた場合は心臓のトラブルの可能性がありますので、動物病院を受診しましょう。

更に進行すると、運動・興奮の度に咳を苦しそうにするようになったり、お腹が膨らんできたりします(腹水)。ここまでいくとかなり心臓に負担がかかっていることとなります。

心臓は体の隅々まで血液を送り届けないといけない大切な使命があります。しかし、その心臓の中に虫が沢山寄生しているわけですので、虫が邪魔で血液をうまく送り出すことができなくなってきてしまうのです。結果、様々な心臓・呼吸器系の症状がみられるようになってきたり、赤血球が虫にぶつかって破壊されることで赤いオシッコが排泄されるようになったり(血色素尿)、その影響で肝臓や腎臓などその他の内臓がダメージを受けてしまって…と繋がっていってしまいます。

フィラリア症の症状で重度なものになると心不全となり、生命に危険が生じます。緊急的な治療介入をしても手遅れという事も多い病態です。

 

フィラリア症にならない為にはしっかりと予防をするのが一番のキーポイントになりますが、仮にフィラリア症になってしまった場合はどうするのでしょうか。

治療法としては以下のものが挙げられます。

 

1つ目の治療方法は、外科的摘出です。心臓に寄生している虫を取り除くことができれば症状は大きく改善する事でしょう。しかしほとんどの場合この処置が必要な状況というのは相当に具合が悪くなってからというのが多く、外科的処置を施す事自体に大きなリスクが生じます。また処置には特殊な器具・経験が必要で、全ての動物病院で実施できるものではありません。

 

2つ目の治療方法は、成虫を殺すお薬を注射する治療方法です。この注射、成分だけみれば「ヒ素」が入っています。ヒ素は非常に毒性が強いものです。これが原因となった事件(和歌山毒カレー事件)も過去にありましたね。何故ヒ素のようなものを使わなければならないのかというと、これ以外の成分で今のところフィラリア成虫を倒すことができるとわかっているものがなく、薬として存在していないからです。

薬によって死んだ成虫は血液の流れにのって、肺の方へ行きます。血管の細い部分でそれらは詰まり、時間をかけて分解されて消えていきます。しかし、消えるまでは当然時間を要するのと、詰まることによっての弊害というのが出てきます(肺動脈塞栓症)。またこの治療期間中はかなり厳密な運動制限が必須となります。お散歩×、お遊び×、興奮・喜びも極力控え、暑くならないよう注意などなどです。治療に耐えうる心臓・肺でなければ、この方法もリスクは高いです。表現は荒っぽくなりますが、虫が先に倒れるかその前に動物が先に倒れるか、といった治療になります。この薬剤を使用する際になるべく安全に使用するよう治療のガイドラインが作成されており、それに従って行う事となります。但し、このお薬は国内での入手が不可能になった為、治療対応できる病院は限られてしまいます。後、結構注射が痛いようです(筋肉注射ですが、しばらくの間跛行が続く事も)。

 

3つ目の方法は、近年解明されつつあるものですが、フィラリアを宿主として存在するボルバキアという細菌がいます。この細菌はフィラリアとは共生関係を保っており、いわばWINWINの間柄です。このボルバキアを弱体化または駆除することで、フィラリア成虫自体も弱体化、時間をかけて駆除していくという方法です。

方法は特定の薬剤を決まった間隔で飲み続けていき、定期的に検査を行って駆虫できた時点で治療終了というものです。治療方法のアプローチとしては前出の2つの方法に比べソフトですが、この方法は長期間毎日の服用(数か月~場合により1年ほど)が必須となります。万が一治療のペースよりもフィラリア症の進行スピードの方が早ければ間に合わないというリスクもあります。次に述べる4つ目の方法よりも早く駆虫ができる為、症状が軽度または無症状の場合には有用な治療法といえます。

 

4つ目は消極的な方法で、フィラリア成虫が寿命を迎えるまで、それまでは予防を毎月継続的に行っていくというものです。フィラリア成虫の寿命は5~6年といわれております。それまでの間、更ならフィラリアの寄生で数が増えないように、予防薬を毎月服用していきます。通常は5月~12月頃の予防ですが、この場合は通年で服用します。最も手軽ではありますが、毎月服用に際してはその前後に別のお薬を併用する必要があります。また、既に多数の寄生の場合で症状が出ている場合には治療効果がみられないでしょう。

 

 

フィラリア症という診断が出た時点での症状の程度により治療方法の選択肢が分かれてきます。総じていえることは、フィラリア症の全ての治療にデメリットがあり、リスクも非常に高く、予防に比較して遥かに費用も手間もかかってしまうということです。

 

5月~12月の月1回の予防薬の投薬。

手間にも感じられる瞬間もあるかもしれませんが、実はこれをしっかりと行うことが最も手間も費用も少なく、動物を安全に守れる方法なのです。

 

 

 

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