フィラリア症についてのお話③ 「予防方法」

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フィラリア症についてのお話③ 「予防方法」

予防について ーフィラリア

2017/05/19 フィラリア症についてのお話③ 「予防方法」

フィラリアについてのお話、第3回目です。

 

フィラリアについては今回が本題!!というところです。

 

こういう経緯で感染してしまう(1回目)

感染するとこうなってしまう。治療方法としてどんなものがあるのか(2回目)

フィラリア症にならない為にはどうすればよいのか(今回)

 

という流れです。

 

 

フィラリアの予防は期間中に月に1回、決まった日にお薬を飲ませて行きます。

ではまず、その「予防期間」はどうやって決まるのでしょうか。

 

当院を含めて近隣地域の動物病院は5月中頃を開始、11月下旬~12月中旬を終了としている場所が多いのではと思います。

何となくこの期間で…という設定ではなく、根拠があります。

それがHDUHeartwarm Development heat Unit)です。

HDUとは、フィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリアが成熟するために必要な温度の積算の単位になります。

かなりざっくりと噛み砕いて表すと、そうですね・・・冬から春になり暖かくなってきて、その気温が一定の段階まで来るとミクロフィラリアがぐんぐん育ちますよ、という感じでしょうか。

算出方法は以下の式で求めます。

【(最高気温+最低気温)÷2-14(臨界温度)】を1HDUとし(マイナスの時には0とする)、

1.春はそれを加算していって130を超えた時点で感染開始とし

2.冬は最近30日間の合計HDU130を切った時点で感染終了とする

 

というものです。

例えば最高気温22℃、最低気温14℃としますと

(22+14)÷2-14=4 となります。

このように算出した数値を4+〇+▽+・・・・=130となった日が開始ということです。

 

絶対的な指標ではなく、目安となるものになりますが、概ね感染時期と相関性がありますのでこれを基準として投薬期間を設定しています。

蚊そのものの出現ではなく、フィラリアの生態に視点を置いた算出方法となります。蚊が出現するのは早ければ3月下旬頃に見られることも当地域ではあるようですが、蚊が出現したからといってフィラリア予防を開始しなくてもいいですよとお答えする理由、そして蚊がいなくなったのに何故冬(12月)まで予防しなければならないのかという理由もこのHDUと、フィラリアの生態に因るのです。暖かい地域(例:沖縄奄美地方)では通年通しての予防が必要となります。

こう考えると、蚊の出現消失時期はフィラリア予防の目安となっても、予防期間を定める要因としては一歩下がることになりますね。

 

こちらのページをご覧頂くと、よりおわかり頂けるかと思います。

DSファーマアニマルヘルス 疾病解説シリーズ/犬フィラリア症

http://filaria.jp/html/hdu/index.html

 

予防期間についてはご理解頂けたでしょうか?

では実際の予防の方法に行ってみましょう。

 

非常に重要な点が一つ!!

予防薬を投薬する前に、必ず血液検査が必要になります。

毎年薬を飲んでいるのに、何故検査しなければならないのでしょうか。

この疑問も多くの飼い主様が持ってらっしゃる事だと思います。

 

フィラリアの予防薬をしっかりとシーズン中に投薬し、間隔をしっかりとして服用していれば、予防は出来ているはずです。

ですがこの世の中、絶対といえるものがなかなかありません。

もう一度申し上げると、基本的には予防をしっかりしていればフィラリア感染はまずないでしょう。しかし万が一、その予防の間隙を突くような形で侵入されてしまい、感染してしまっていたとしたら・・・

その感染を知らずに翌年予防薬を服用するとどうなってしまうでしょうか。

フィラリアは感染して成長すると心臓に寄生し、そこで繁殖してミクロフィラリアを産みます。ミクロフィラリアは血液中を泳いで蚊の吸血のタイミングを待っているのは1回目のお話です。

フィラリア予防薬はこのミクロフィラリアを標的としています。血液中に泳いでいる沢山のミクロフィラリアは、予防薬を使うことにより駆虫されます。

結果的に駆虫できるならばOKなのでは?

確かに駆虫はできます。しかし、無数にいるミクロフィラリアが同時に駆虫された場合、その虫体は血液の流れに乗ってやがては細い血管で塞栓し、血行障害を引き起こします。

また虫が死ぬことでそれが分解され、虫を構成している成分=異物と体が認識し、それが一度に大量に生じるためアレルギー反応を起こし、最悪ショック死してしまうことも有り得るのです。

健康を守るために使った予防薬で亡くなってしまう・・・そんな悲しい事態は絶対にあってはいけません。

ですので、万が一にも体の中にフィラリアがいないかどうかというチェックを必ずした上で、予防薬を処方させて頂いております。

上記理由により、検査無しでの予防薬処方は当院では行っておりません。必ずその年の予防の前にフィラリア血液検査を実施してから、お薬の投与となります。

 

 

次は、お薬投与の方法です。

 

①:月1回、内服パターン

②:月1回、背中に滴下パターン

③:年1回、注射パターン

 

予防薬投与の方法はこの3通りです。

最も一般的で多くの方が経験されているのが①の内服パターンです。

予防期間月の決まった日・・・といってもこれに制限はなく、覚えやすい日ということで宜しいと思いますが、その日になったらお薬を飲ませます。これを繰り返して12月までというものです。②の滴下パターンも投薬経路が異なるだけで、手順は一緒です。

唯一異なるのは③の注射パターンで、これは毎年のワクチン接種のようにフィラリア予防時期に注射するとその予防効果は1年間持続しますので、1回の注射で後はまた来年というものです。

 

ではメリットデメリットのご説明に続きます。

 

先ず投薬方法に関していうと、①と②は毎月やらなければいけませんので忘れてしまう事があり得るというものです。

通常予防薬は必要回数分のみ処方されているはずですが、お手元に何故か一つ残っているという経験、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ドキッとした方・・・必ずどこかで投与し忘れが生じているということです。

③の注射は投与し忘れという事が一切なくなりますので、確実なフィラリア予防が期待できます。ですが若齢や成長期、アレルギー体質など体調に不安がある場合などはこの注射薬は使えない又は避けた方が良いという点があります。①と②では体調など様子を見ながら投薬日を変更したり、体質的に合わなかった場合は中止したりすることができます。

 

①は錠剤とオヤツ(チュアブル)の形状の2つがあります。

最近はオヤツ形状の予防薬が増えてきています。オヤツ感覚またはオヤツそのものとして投与することができますので、非常に動物にとってストレスのかからない方法といえます。欠点はこれを食べない場合(選り好みや警戒感から)や食物アレルギーがある場合です。

錠剤はそのまま食べてくれると楽ですが、警戒してちょこんと錠剤のみ残すパターンが多いですので何かに混ぜて与える方が良いでしょう。混ぜるものを自由に選べるという汎用性の広さは錠剤の方に軍配が上がります。潰して粉状にすることもできますね。

 

フィラリア予防だけでなくノミ・マダニ予防の効果も一緒になった内服タイプも近年出てきております。内服パターンにおいてどれを選択されるかは、その子に合った物を選んであげて下さい。わからない場合はどうぞご相談下さい。

 

 

②の滴下パターンは内服が難しい、オヤツを食べないといった場合に有効です。

首の後ろ~肩口辺りの1カ所に予防薬の液体を垂らし、後はそのまま乾くまで放っておくだけです。フィラリア予防だけでなく、ノミ予防が一緒になっている製剤となります。

しっかりと垂らす事ができたならば、お薬をちゃんと食べたかどうかの確認はしなくても良いのが利点です。

ただし、多頭飼育で垂らした部分をお互いに舐めてしまったり、垂らしたその日にシャンプーや雨で濡れたりなどしてしまうと効果が不十分になってしまう可能性がありますので注意が必要です。

 

③の注射パターンの一番の利点は投与し忘れがなくなるという点です。

注射を用いる場合はほぼこれが最大のメリットとして使うことになるでしょう。

デメリットは先述のように、年齢・体質・健康状態に左右されるというものです。プラスでいうと、費用面では注射パターンが平均するとちょっと高めになる場合があるでしょうか(そうではない病院さんもありますよ)。

 

 

どの投与パターン、どの形状の予防薬を使うかは飼い主様とワンちゃんの選択次第です。

 

但し、お薬の選択に制限がかかる場合もあります。

代表的なものがコリー犬種(コリー,シェルティー,ボーダーコリー,オーストラリアンシェパードなど)と言われる子達は、MDR1遺伝子というものが欠損している場合があります。

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この遺伝子は体の中で薬剤の代謝に関わるものですが、これが無い場合に薬による悪影響が強く出てしまう恐れがあります。

フィラリアの予防薬成分としては、イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン、セラメクチンがあります。この内、モキシデクチンやセラメクチンがコリー犬種には安全性が高いという点からこちらを使用するのが望ましいでしょう。ですが、イベルメクチンやミルベマイシンも、フィラリア予防に用いる薬剤の量であれば基本的に安全性は高く問題ないという報告がちゃんとあります。よっぽどでない限りはどのお薬を選択しても問題となる事はないでしょうが、理想的にはこの犬種にはモキシデクチンなどを用いた方が良いでしょう。

 

 

当院で処方可能なお薬は以下のようになります。

注射薬は本年は導入しておりません。

 

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どの予防薬を使えば良いのか。どれが合っているのか。

何時から何時まで予防しないといけないか。

費用はどれくらいかかるのか。

その他様々な疑問点がありましたら、遠慮無くご相談下さい。

 

なかなか見る機会は少ないですが、気づけば身近に存在しているフィラリア症。

確実な予防をして、日々健康に過ごせるようにしていきましょう。

 

 

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